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イエノミクラブ編集部
2020年、コロナ禍による未曾有の混乱は清酒蔵にあっても甚大な被害をもたらし、ソーシャルディスタンスが確保できない蔵開き等をはじめとするイベントは中止を余儀なくされた。そんな折、懇意にしている長野は須坂市にある遠藤酒造場の六代目蔵元遠藤秀三郎氏より連絡を頂いた。
『蔵開きの振る舞い酒に考えていたお酒をなんとか出荷できる方法はないだろうか?』と。遠藤酒造場の酒質のクオリティの高さは良く知っていたので二つ返事で『うちに販売させて欲しい』と名乗り出た。
いざ須坂へ
片道7時間余り、走行距離にして560kmの道のりを経て1年ぶりの遠藤酒造場へ。城下町の面影が残る信州須坂の中心部にその蔵はある。到着して間もなく六代目蔵元遠藤秀三郎氏と打ち合わせに入った。
清酒バイヤー 森藤雅礼(取材当時) | 六代目蔵元 遠藤 秀三郎 | 杜氏 高野伸氏 |
遠藤
森藤
遠藤
森藤
遠藤
蔵内へ移動し杜氏の高野氏と共に唎き酒に移った。
唎き酒開始
高野
森藤
高野
森藤
高野
森藤
高野
森藤
高野
森藤
遠藤
森藤
蔵人による手造りの、昔ながらの白うりの粕漬け。食べ始めるとクセになる美味しさで、酒のお供に最適。
ひやおろし大吟醸
無事お酒の方向性も決まり、実りのある蔵元訪問となった。行き場をなくしたお酒をなんとか世に出したい!という出発点ではあったが、長野県産米美山錦を100%使用して醸された大吟醸という素晴らしい酒質に出会うことが出来た。
今回このお酒をなるべく多くの方に味わって頂きたい、またこのお酒を飲んで頂くことで蔵元を応援したいとの思いから、ラベルは必要最低限の簡易的なものとし不要なコストをカット。蔵元の協力もあり、お試し頂きやすい価格にすることが出来ました。是非とも、軽く冷やして秋の味覚と共にお愉しみ頂ければと思います。
文/LM清酒バイヤー 森藤(取材当時)
「ひやおろし」と「秋あがり」の違いについて
かつて酒造りは、「寒造り」と云って雑菌の繁殖の恐れの少ない、冬場にのみ行われていた。冬から春先にかけ出来上がった新酒は、酒質の変質を避けるため、気温の上がる前、春に火入れ(加熱殺菌)した上で大桶に貯蔵し、出荷する際に再度加熱殺菌をして売りだされた。けれど夏を越して、外気と貯蔵庫の中の温度が同じくらいになると、※火落ちの危険性が下がる為、「冷や」(2度目の火入れを行わない)のまま大桶から樽に「卸し」て販売された。その「冷や」のまま売りだされた生詰めの酒を「冷やおろし」と云う
一方、ひと夏を越して秋を迎え、熟成され旨味が増した(酒質が向上した)酒は「秋上がり」とも呼ばれ重宝された。(向上しなかったものは秋落ちと呼ばれる)どちらも秋限定の酒を指すが、「ひやおろし」は酒の造り方、「秋あがり」は酒質に由来する。
※火落ち菌の増殖により清酒が濁り、変質してしまうこと
渓流 ひやおろし大吟醸
長野県産米美山錦100%使用の大吟醸ひやおろし。程よい熟成感のある旨味を感じながらも、重すぎずキレのあるシャープなボディに仕上がっています。
商品番号 019093/720ml
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取材日:2020年7月21日
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Writer
イエノミクラブ編集部