八海山を求め、南魚沼へ〜新潟県南魚沼市 八海醸造株式会社〜

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八海醸造株式会社

南魚沼へ

「御社限定純米酒の製品化の現場に立ち会いませんか?」そうお声かけ頂いたことが由縁で、今年2度目の訪問となる南魚沼へ。

京都からだと東京で上越新幹線に乗り継いで北上。越後湯沢と長岡の間、南魚沼にある新幹線の停車駅である浦佐駅まで4時間程。さらにそこから車で15分ほど走ると、清酒八海山の醸造元である八海醸造株式会社本社屋が現れる。

八海醸造株式会社

今年の3月に訪問させて頂いた時はしっかりと雪が残っていたが、今回は8月下旬。青々しく育った稲田が一面に広がる光景は圧巻だ。これだけ豊かな自然の中で醸されるお酒は旨いに違いないと誰もが思うだろう。

黒い屋根の建物が、八海山を代表する普通酒、特別本醸造を主に製造している第二浩和蔵。南魚沼の豊かな自然と雪国の文化が育んできた、この土地ならではの〝きれいな酒〟をつくり続ける。

八海醸造株式会社

新潟県南魚沼市長森1051番地

【公式サイト】https://www.hakkaisan.co.jp/

八海醸造株式会社

いざ製品化の現場へ

八海醸造株式会社

上槽されたお酒は厳重に管理された無菌ルームで次々に専用の瓶に充填されていく。

その後熟練の担当者の目視チェックによる検品へ。無事検品をクリアしたお酒たちは、商品の顔ともいえるラベル貼り作業を経てようやく完成した商品となる。

手に取った出来立ての商品はほんのりぬくもりを感じた。一連の製品化までの工程を確認後、製造責任者の阿部様と今回のお酒についてお話させて頂いた。

第一声に「こういったかしこまった対談は苦手なんです。」と謙遜されておられたが、話始まれば酒談義は自ずと盛り上がり八海山の酒造りにかける想いから今後の展望までお話頂いた。特に「今回の造りはほんとうにいいお酒に仕上がりました」と力強くゆっくりとお話をされていたのが印象深く、実際の造り手のお墨付きに期待は膨らむ。

雷電様の清水

雷電様の清水

八海山の酒造りにおいて雷電様の清水はきっても切り離せない。蔵から少し離れた藤原地区と呼ばれる所に湧き出している。

仕込み水にはもちろん、お米の洗米などにも使用されており、雷電様の水源に訪問した際には途切れなく土地の方が生活用水として水を汲みに来られていた。口に含むとやわらかな口あたりで美味しいが、雷電様の清水の水質は酒造りに向かないとされる軟水。

酒造りにおいては酵母の発酵を助ける意味でも、栄養分となるミネラル分を多く含む硬水の方が向いているとされ、しっかりと味がのった芳醇なお酒に仕上がる。

そんな中にあっても軟水仕立てながら八海醸造では酒造技術を磨き、克服することで、今日多くの愛飲家から評価されている八海山のきれいで淡麗な味わいが生まれたとのことである。

雷電様の清水

淡麗旨口

今回の純米酒は、いい意味で素朴な味わいに仕上がっている。利き酒した感想を誤解を恐れずに言えば、カプロン酸系の華やかな香りや、わかりやすい甘みがもてはやされるコンクールでは評価されにくいお酒だろう。しかしながら派手さはないが、若々しさを感じる旨味ときれいな口当たり、余韻に感じるお米由来のほのかなコクがアクセントになっている。

「食中酒として安心して楽しめるお酒」この純米酒に求めるものはそこにある。冷酒ではスイスイと盃が進んでいくし、ぬる燗(40℃)でゆっくりやるのもグッと染みわたる余韻が最高だ。

食中酒として非常に優秀で和洋問わず合わせられるが、個人的には山菜の天麩羅と合わせると旨かった。他にも相性の良い料理はたくさんあるので、読者の方には是非とも色々と試して頂きたいと思う。八海山純米酒を早速今夜の食卓のお供にいかがでしょう。

八海山 純米酒

八海山 純米酒

酒としての旨みは十分にありながら、 食事を邪魔せず、いつまでも飲み飽きない酒。 それが、八海醸造が目指す日本酒です。

商品番号 019961/720ml

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